SNSに子どもの写真を掲載したら・・・

当社ソルナには、ネット上に特化した人物健全度調査サービス「ネットの履歴書(ビジネス特許出願中)」があります。
4万525件(2018年4月〜2023年2月)の調査結果のなかで、SNSに子どもの写真を載せていると報告されているのをよく目にします。
この場合、7段階ある総合判定で、少なくともC判定「軽度の問題あり」となります。
下図のとおり、C判定は問題度が高いほうから4番目の判定で、信号のように3つに色分けすると黄色信号に相当します。

『ネットの履歴書』調査報告書と総合判定について

自身の子どもの写真をSNSに載せることは、ごくごく自然なことのように思えますが、いったいなぜ軽度の問題ありと判定されてしまうのでしょうか。

それは、何気ない写真の投稿からトラブルに発展することがあるためです。
<例>
知人の子供も写っていて苦情を受けた(36%)
個人情報を特定された(30%)
写真を無断使用された(16%)
中傷された(6%)
学校でトラブルになった(6%)
(出典:https://forbesjapan.com/articles/detail/61806

匿名にしても匿名になっていない?

例えば、家の前で、七五三の衣装を着てかわいく笑う娘の写真を載せたとします。
用心のため、名前は一切出していません。

この写真のどこに問題があるのでしょうか?

たとえ、子どもの名前を出していないから問題ないと思っても、実名でアカウント登録しているFacebookで載せているとしたら……すぐに誰の子どもかわかります。
ほかのSNSからでも、アップした写真に映り込んだ背景や投稿内容から居住地など、個人を特定できる情報があれば、同じことがいえます。

それを悪意がある人物が見た場合、どのようなことが危険が潜んでいるのでしょうか?

お子さんが一人でいるちょっとした隙に、「○○さんちの子だよね? さっき、○○さんが事故にあって、今すぐおじさんと一緒に病院に行こう」などと巧みに声をかけられ、誘拐されるかもしれません。
もしくは、親がネット上の誹謗中傷の被害を受けた場合、過去の投稿までもさかのぼられ、無関係である子どもまでも攻撃対象となるおそれもあります。
事実、そのような被害事例は枚挙にいとまがありません。

特定の性的嗜好をもつ人物のターゲットに?

ネットは不特定多数が目にします。
そのなかには、特定の性的指向をもつ人物も含まれます。裸の写真はもちろん、子どもの写真はこれらの人物の興味を引き、問題があるサイトに写真が載ったり、写真が拡散されてしまったり、ストーカー被害など直接的な被害が発生するかもしれません。

また、あまり聞きなじみがないかもしれませんが、「デジタル誘拐」の被害にあう可能性もあります。
デジタル誘拐とは、ネット上からコピーした赤の他人の写真をわが子として無許可でSNSなどに投稿し、子どもの親になりすます行為をいいます。

このように、他人の権利を侵害することは何においても悪いことですが、法律的にも技術的にも加害者が必ず制裁を受けるわけではありません。だからこそ、ネットを利用する側も自衛することは重要です。

子どもからNO!を言われる可能性も視野に

子ども自身がSNSにアップした写真を嫌がっている、もしくは、将来、子どもが嫌がる可能性があるかもしれません。
「デジタルタトゥー」といわれるように、ネット上にアップしたデジタル情報は完全に消し去ることはできません。
本人にとって不本意な形でのデジタルタトゥーは、深く深く傷つけてしまうことになります。

これはわが子に限ったことではなく、友人や友人の子どもなど自分以外の第三者の写真をSNSにあげる時は、トラブルを避けるために同意をとってあげるようにしましょう。
子どもだから大人だからということではなく、プライバシー権や肖像権は年齢関係なく、誰しもがもつ権利です。
このことは、ネット社会の現代では、いつも頭の片隅においておきたいことです。

今はまだ幼かったとしても、自身のネット上の居方は、親や他者が決めることではなく、将来、その子自身が自分で決めることです。
また、子ども自身がSNSに投稿する際も、ネット上でのいじめや危険につながることもあるので、日頃から親子でネットリテラシーを養うことをするのもいいかもしれません。

SNSも写真をあげること自体はまったく問題ない

散々、トラブルや注意点について述べてきましたが、そもそも、子どもの写真をSNSなどネットにアップすることは、まったく悪いことでも問題でもありません。
例えば、ワンオペで大変な子育てのなか、同じような境遇にいるママ友・パパ友とSNSをとおして、育児の悩みや共感をシェアすることで大きな力になったり、SNSのいい面はたくさんあります。

ネットには多様な考えや功罪がありますが、ここでポイントなのは、「どのように情報を発信するか」です。
SNSに写真をアップする際の注意点を以下にあげますので、ご参考になさってください。

・個人の特定につながる情報は載せない
 顔や名前、住所などは当然ですが、プロフィールなどといった情報の組み合わせで特定されてしまう可能性もあるため、気をつけましょう。
・写真への映り込みに注意!写真のExif情報は削除!
・一緒に写る人たちに同意をとる
・子どもが嫌がる可能性がある写真はやめる
・上記の4点を押さえたうえで、公開範囲を考える

このようなことから『ネットの履歴書』では、ネットリテラシーの観点から軽度の問題ありと報告し、どのように判断するかは各企業様におまかせしています。
また、当社では『ネットの履歴書』以外にもネットリテラシー研修もご用意しています。
ご興味がございましたら、ぜひお気軽に下記「お見積り・無料相談」までご連絡ください。
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