企業が風評被害を受けた7つの事例!損害を最小限に抑える方法や防止策も解説

近年SNSの普及により、気軽に情報を発信できるようになりました。その一方で、誤情報も簡単に拡散されてしまうため、企業が風評被害を受けるケースが増えています。風評被害は企業の信用度やブランド価値の低下につながり、大きな損害をもたらします。そのため現代において、企業における風評被害対策は不可欠です。

今回の記事では、企業が風評被害を受けた7つの事例について詳しく解説します。損害を最小限に抑える方法や防止策も紹介するので、広報担当の方はぜひ参考にしてください。

企業が風評被害を受けた7つの事例

これまで企業が風評被害を受けた事例は、数多く存在します。ここでは、企業が風評被害を受けた事例を原因別に見ていきましょう。

  • SNSによる風評被害
  • 従業員の不祥事による風評被害
  • マスメディアの偏った報道による風評被害
  • 事故による風評被害
  • 誤った調査データによる風評被害
  • 根拠のない噂やデマによる風評被害
  • 産地偽装問題による風評被害

SNSの普及により情報の拡散スピードが早くなった今、どの企業でも風評被害を受ける可能性があります。過去に起こった風評被害を把握し、自社で対策を行うときに役立てましょう。

SNSによる風評被害

X(旧Twitter)では、某銀行で起こる取り付け騒ぎに備えて行員へ通知があったという虚偽の投稿が風評被害につながりました。取り付け騒ぎとは、信用不安から預金者が預金・貯金・掛け金などを取り戻そうとして、窓口に殺到する状態を指します。

銀行側は公式HPや記者会見を通じて、投稿が事実ではないことを何度も説明しました。結果的に投稿者は逮捕されたものの、銀行の関係者や顧客に大きな混乱を招いた事例です。

従業員の不祥事による風評被害

某飲食店のアルバイトがSNSに不適切な動画を投稿し、風評被害につながったケースもあります。具体的な動画の内容は、一度ゴミ箱に捨てた食材を再度取り出して、アルバイトが調理している様子が映されています。実際にはお客さんへ提供されなかったものの、店舗を運営するに対して不信感を抱かせました。

さらに株価の下落や時価総額の損失なども生じ、風評被害が大きな企業に実害をもたらした事例です。店舗の運営会社は、動画の投稿に関わったアルバイト2人に対して法的措置を取りました。

マスメディアの偏った報道による風評被害

SNSだけでなくマスメディアも、時には風評被害を招く原因となります。例えば、新型コロナウイルス感染症が流行していた頃、パチンコ店が感染症拡大の原因であると報道されました。

マスメディアの偏った報道が、多くの人に誤った認識をさせた事例です。休業要請を守らないパチンコ店が存在していたのは事実ですが、実際にクラスターが発生したことはありませんでした。コロナ禍が収束した現在でも、パチンコ店は感染しやすい場所というイメージが根付いています。

事故による風評被害

東日本大震災後に発生した原子力発電所の事故による風評被害は、10年以上経った今でもなくなっていません。福島県産の食品は放射能汚染の恐れがあると、購入をためらう人は一定数存在します。

福島県では放射性物質の検査を行い、安全基準を満たした食品のみを出荷しているにも関わらず、偏見が色濃く残っているのが現状です。そのため現在でも福島県では、放射線に関する正しい情報や知識を発信し続けています。

誤った調査データによる風評被害

食中毒で多くの被害者が出た際に、原因であると言われたのがカイワレ大根です。しかし、喫食者の調査を行ったのは事件発生から10日も経った後であり、信ぴょう性のない調査結果が報告されていました。カイワレ大根農家は風評被害を受けたため、国を相手に損害賠償を請求した結果、勝訴しています。誤った調査データによって、風評被害が発生した事例です。

根拠のない噂やデマによる風評被害

ある女性は「〇〇銀行が潰れるらしい」という噂で聞いたレベルの誤情報を、多くの友人にメールで広めました。根拠のない噂であったものの、情報が事実であるかのように拡散された事例です。総額400〜500億円の預金が解約されたり、引き出されたりする事態に発展しました。

某銀行は記者会見を開いて内容を否定し、財務支局も事実とは異なる旨をコメントしました。実際に風評被害の原因となった女性は、信用毀損容疑で書類送検されましたが、疑惑不十分で不起訴となっています。

産地偽装問題による風評被害

外国産のアサリを国産であると偽って販売されていたことが明らかになった影響で、地方自治体は約2ヶ月間にわたり出荷を停止しました。また、ハマグリも入札が中止になったり、大量の返品が発生したりしました。旬を迎えたハマグリの入札が中止となったため、大きな損害をもたらした事例です。

現在は再発防止に向けて、QRコードを活用した流通監視システムの導入が進められています。

企業の風評被害を最小限に抑える方法

風評被害を受けたときに対応が遅れると、損害が大きくなってしまいます。ここでは、企業風評被害を最小限に抑える方法をケース別に見ていきましょう。

  • 風評被害の原因が社外にある場合
  • 風評被害の原因が社内にある場合

風評被害の原因がどこにあるかによって、企業の対応方法は異なります。いずれにせよ風評被害を最小限に抑えるためには、事前に対応フェーズを明確にしておくことが重要です。

風評被害の原因が社外にある場合

SNS上で誤情報が出回っているなど、風評被害の原因が社外にある場合は以下の流れで対応しましょう。

事実関係の確認

一般ユーザーの投稿によって風評被害を受けたときは、最初に事実関係の確認から行いましょう。万が一、投稿された内容が事実であるにも関わらず否定してしまうと、さらに炎上する可能性があります。また事実関係の確認は、適切な対応をするために不可欠です。SNSだけでなく、Webサイトや匿名掲示板などからも情報を収集し、風評被害の原因や現在の状況を把握することが大切です。

声明文の発信

事実関係の確認が終わったら、迅速に声明文をしましょう。ステークホルダーと良好な関係を保つためには、タイムリーな情報発信が不可欠です。投稿に関する反論や会社としての対応状況を随時発信することで、企業への信頼を損なわずに済む可能性があります。なお、声明文は公式HPやSNSなど、多くの人の目に触れる場所に掲載することが大切です。

削除請求・損害賠償請求・刑事告訴の実施

虚偽の投稿は、運営会社・運営者に対して削除依頼を行うことができます。削除してもらえない場合は、投稿削除の仮処分を申し立てることも可能です。風評被害による経済的損害については、投稿者に対して損害賠償を請求しましょう。

ユーザーが匿名の場合でも、発信者情報開示請求によって特定できる可能性があります。悪質な誹謗中傷に関しては、刑事告訴も検討すべきです。刑事告訴をする際は、企業を管轄する警察署で告訴状を提出します。

風評被害の原因が社内にある場合

アルバイトの不祥事が拡散されて炎上するなど、風評被害の原因が社内にある場合は以下の流れで対応しましょう。

事実関係の確認

風評被害の原因が社内にある場合でも、事実関係の確認は必要です。「誰が風評被害の原因なのか」「どのような情報が拡散されているのか」などを、インターネットでの調査や関係者に対するヒアリングを通じて把握しましょう。

声明文の発信

自社に原因があったときは、問題の経緯や会社としての対応状況などを随時発信します。自社の落ち度の有無に関わらず、ステークホルダーと良好な関係を維持するためには、タイムリーな情報発信が欠かせません。

懲戒処分の検討・実施

風評被害の原因となった従業員に対しては、懲戒処分の検討が必要です。懲戒処分の重さは、行為の内容や態様に応じて決めましょう。

予め就業規則に定めたり、入社時、退職時の誓約書に定めておくことをお勧めします。過度に重い処分を課すと、懲戒権の濫用として従業員に事由があったとしても無効となるケースもあるため注意が必要です。

再発防止策の検討・実施

自社が原因で発生する風評被害は、従業員へのルールを強めることである程度予防できます。従業員による不祥事が発生した経緯を検証し、同じ風評被害が起きないように対策を取ることが大切です。

企業の風評被害を未然に防ぐ3つの対策

事前に対策を講じることで、自社が風評被害を受ける可能性が低くなります。ここでは、企業の風評被害を未然に防ぐ以下3つの対策について詳しく見ていきましょう。

  • SNSの運用マニュアル・ガイドラインの策定
  • 従業員の教育・研修
  • 風評被害対策業者へ依頼

自社だけで対応するのが難しい場合は、専門業者に依頼するのも有効です。風評被害対策に関するノウハウを持っているので、効果的な施策を実行できます。

SNSの運用マニュアル・ガイドラインの策定

社内でSNSを運用する場合は、担当者全員が共有できるマニュアル・ガイドラインの策定が必要です。運用マニュアル・ガイドラインを厳守することで、炎上リスクを最小限に抑えられます。何気ない発言が炎上することもあるので、使用する言葉のルールについても明記しましょう。

「ユーザーを不快にさせないため」「ステルスマーケティングを回避するため」など、ルールとともに具体的な目的も記載しておくと遵守されやすくなります。また、批判的なコメントがついたときや不適切な投稿がされたときの対応フローも決めておくと、問題が発生した際に迅速に動くことが可能です。

従業員の教育・研修

風評被害を未然に防ぐためには、従業員の教育・研修も不可欠です。SNS上での情報発信には影響力が伴うので、従業員のリテラシーを高める必要があります。実際に起きた風評被害の事例を交えながら伝えると、SNSのリスクが認識されやすくなります。

また、各SNSのガイドラインを取り上げて説明するのも有効な手段です。例えば、X(旧Twitter)のガイドラインでは、暴力をほのめかす脅迫やグロデスクな投稿が禁止されています。プラットフォームによって内容は異なるので、自社で利用するSNSを例に取り上げてみましょう。

風評被害対策業者へ依頼

風評被害対策業者へ依頼することで、サジェスト対策や監視・モニタリングなどが可能となります。風評被害に精通しているプロが対応してくれるため、自社で行うよりもリスクを最小限に抑えられるのが大きなメリットです。また予防だけでなく、再発防止にもつながります。自社が受けた風評被害を、原因から解決したい場合に有効です。

風評被害の事例を把握したうえで効果的な対策を取ろう

SNSの普及により、風評被害を受ける企業が増えています。風評被害は企業の信用度・ブランド価値の低下や株価下落など、大きな損害をもたらします。現代ではどの企業でも風評被害に遭うリスクがあるため、事前の対策が不可欠です。また、発生してからも迅速な対応が求められます。風評被害は対応が遅れると、損害が大きくなるケースもあるからです。

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