デジタルタトゥーがその後企業に与える影響とは

デジタルタトゥーとは、デジタルとタトゥーを組み合わせた造語です。身体に刻んだタトゥーを簡単に消せないことと同様に、一度公開した情報はなかなか消すことができないという意味があります。

企業の利益につながるような情報であれば何も問題はありませんが、デジタルタトゥーとして呼ばれるものは企業にとって不利益である情報がほとんどです。企業が運用するWEBサイトやSNSは拡散性の効果が抜群である一方で、デジタルタトゥーによるリスクも高いため、企業に与える被害や影響を把握し、投稿には細心の注意を払う必要があります。

デジタルタトゥーの例

デジタルタトゥーとは、一度公開した情報はなかなか消すことができないという意味の造語であり、具体例は次のとおりです。

  • 不適切な投稿
  • 個人情報の掲載
  • 写真や動画の投稿

参考:消したくても消えない過去の投稿。IT弁護士が解説する「デジタルタトゥー」の危険性(ソフトバンクニュース)

不適切な投稿

従業員やアルバイト、お客の立場である人による悪ふざけ動画が新聞やテレビなどのニュースでも取り上げられることがあります。本人は軽い気持ちでおこなった行為が、後に逮捕や法的措置を取られるほどの大問題となるケースも多く見られるようになっています。

不適切な投稿はデジタルタトゥーとしてインターネット上に残り続け、社会的制裁からなかなか逃れることができません。迷惑行為は後を絶たず、最近では加害者が未成年でもしっかり罪に問われるケースもあり、多額の損害賠償請求に発展しています。

個人情報の掲載

個人情報の掲載によるデジタルタトゥーも大きな問題です。公開された情報は、個人情報であろうと閲覧した人は誰でもコピーし、シェアすることができてしまいます。

そのため、個人や企業を特定できるような情報を投稿してしまい、自宅や職場を特定されて迷惑行為や犯罪に巻き込まれるケースが起きています。基本的に個人情報を掲載すべきではありませんが、企業のPRで従業員の写真や名前を投稿する際は細心の注意が必要です。

写真や動画の投稿

TwitterやInstagramなどのSNSを運用する企業も増えたことから、写真や動画によるデジタルタトゥーも増えています。投稿した画像から位置情報を取得されてしまう恐れもあるため、自分だけでなく、家族や友人、従業員が企業に関する写真や動画を投稿する際は、モザイクを入れるといった配慮が必要です。

デジタルタトゥーのその後の問題

デジタルタトゥーにおける問題は次のとおりです。

  • 削除が困難である
  • 削除の手続きに時間がかかる
  • 削除依頼に費用がかかる

削除が困難である

デジタルタトゥーは、簡単に削除することができません。自分で削除が完了しても、投稿がほかのユーザーによって保存されていたり、スクリーンショットされていたりする可能性もあります。

そのため、すでに拡散されてしまった投稿は制御不能となり、完全に削除することは非常に困難です。企業の場合、フォロワー数の多い大企業ほど拡散力や影響力は大きいため、広報やマーケティングなどでSNSを利用する際は十分に注意しなければなりません。

削除の手続きに時間がかかる

デジタルタトゥーとなった投稿の削除だけでなく、発信者に対する責任追及までおこなう場合は手続きに時間がかかります。サイト管理者へ削除の依頼をしたとしても、任意で応じてくれない場合は裁判所を介する手続きを要するため、時間をかけた解決が必要です。

削除依頼に費用がかかる

個人や企業だけではデジタルタトゥー問題が解決できず、弁護士や専門業者などに削除を依頼する場合は費用がかかります。具体的な金額は弁護士事務所や専門業者によって異なりますが、適切な提案を受け、確実に削除を望むのであれば専門家に相談することも身を守るひとつの方法です。

デジタルタトゥーが企業に与える影響

デジタルタトゥーが企業に与える影響は次のとおりです。

  • 誹謗中傷を受ける
  • ブランドイメージの低下につながる
  • 採用が困難になる

誹謗中傷を受ける

デジタルタトゥーが原因で誹謗中傷を受けるケースはSNSにおいて多く見られます。一度、企業にとって不利益な情報を書き込まれた場合、インターネット上に情報が残っている限りいつ再熱するか分からない状況です。匿名掲示板で企業の不祥事が拡散されてしまった場合は、将来にわたって誹謗中傷を受ける可能性もあります。

ブランドイメージの低下につながる

デジタルタトゥーは企業におけるブランドイメージを低下させてしまう恐れがあります。特に企業や商品についてのデジタルタトゥーが発生した場合は、誤解や悪い印象を与えてしまい、顧客の商品の買い控えや取引先との関係悪化につながるほど深刻です。また、一度低下してしまったイメージを回復させるためには多くの時間を要することとなり、なかなか元には戻らないため注意が必要です。

採用が困難になる

デジタルタトゥーにより企業に対するイメージが低下してしまうと就職希望者も激減します。一般人でもインターネット上で簡単に企業の情報を得ることができるため、労働環境が悪いと判断されてしまえば、多くの求職者が応募を取りやめるという事態になりかねません。

また、企業に対して従業員からの信頼も失われ、離職者が増えることも予想されます。このように、デジタルタトゥーが企業に与える影響は外部からだけではなく、本来なら味方である内部の人材との信頼関係も悪化させてしまうため注意が必要です。

デジタルタトゥーのその後の対処法 

デジタルタトゥーの対処法は次のとおりです。

  • 自分で削除する
  • サイト管理者に削除を依頼する
  • 弁護士や専門業者に相談する

自分で削除する

最初にやるべきことは、デジタルタトゥー化してしまった自社の投稿をすぐに削除することです。拡散されてしまった投稿は自分ではどうにもできませんが、いつまでもデジタルタトゥーを残しておくべきではありません。

企業が重大な損失につながる誹謗中傷を受け、法的措置を考える場合は、弁護士に法的アドバイスを受けるためにも投稿内容を証拠として保存しておく必要があります。

サイト管理者に削除を依頼する

デジタルタトゥーの削除をサイト管理者に依頼することができます。しかし、サイト管理者側が任意で削除依頼を受け付ける場合は進行がスムーズですが、投稿が合法であると判断された場合や、一定の条件を満たさない場合には任意削除を受け付けてもらえません。

そのため、被害を受けた証拠となるデータの保存は重要です。ただし、スクリーンショットやコピーなど、他のユーザーによって拡散されてしまったものについてはサイト管理者でもどうにもできないケースもあります。

弁護士や専門業者に相談する

デジタルタトゥーが原因で大きなトラブルに発展してしまったり、個人や企業だけの対応ではどうにもならなかったりする場合は、弁護士や専門業者に相談することが得策です。デジタルタトゥーを削除できない、または、しつこい誹謗中傷に悩まされている場合は、専門的な知識を持つ人物や機関に相談することで解決につながる可能性があります。

また、迅速な対応をしてくれるケースが多い専門業者に依頼するのも有効ですが、弁護士でなければ違法になる点に注意しなければなりません。

まとめ

デジタルタトゥーとは、体に刻んだタトゥーを簡単には消せないように、一度公開した投稿は簡単に消すことができないという意味の造語です。デジタルタトゥーが企業に及ぼす影響は大きく、誹謗中傷やブランドイメージの低下は避けられません。

万が一、デジタルタトゥーが発生してしまった場合、被害を最小限におさえるためにも早急な対処が必要であり、大きな損失を生む前に法的措置を検討する必要があります。SNSの運用においては、公開した情報が個人や企業の将来を大きく狂わせてしまうほど影響力のあるものだということを十分理解し、慎重な発信が重要です。

参考URL

https://bizx.chatwork.com/digitalization/digital-tattoo/
https://roadmap.co.jp/cybervalue/column/about-digitaltatoo
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