デジタルタトゥーが事件になる!一度投稿したら消せない恐ろしさ
- 誹謗中傷
- 風評被害
デジタルタトゥー(ネットタトゥー)とは、一度インターネット上に公開した投稿は簡単に削除できないという意味の造語です。軽い気持ちで体に入れたタトゥーを、のちに後悔しても簡単に消すことができないように、デジタルの世界でも同じように消えないことを意味しています。
一般ユーザーだけでなく、企業側にとっても利便性の高いSNSですが、一度デジタルタトゥーを起こしてしまうと一気に信頼が失墜し、なかなか元の状態に戻すことができません。そのため、デジタルタトゥーは企業の将来に大きな影響を及ぼすことを十分理解して活用する必要があります。
デジタルタトゥー事件の恐ろしさ
デジタルタトゥーとは、一度インターネット上に公開した投稿は簡単に削除できないという意味の造語です。デジタルタトゥーの恐ろしさは、一度公開した投稿を個人や企業など自分の力だけでは完全に削除することができない点にあります。一度拡散されてしまった投稿がどの範囲まで広がっているのかを把握しきれないためです。
時間の経過とともに落ち着いたと思えても、個人のスクリーンショットによって保存されていたものが再び世に出てくるケースも多くあります。このように、一度デジタルタトゥーを起こしてしまうと半永久的に得体の知れない誰かに怯え続けることになってしまいます。
参考:消したくても消えない過去の投稿。IT弁護士が解説する「デジタルタトゥー」の危険性(ソフトバンクニュース)
デジタルタトゥー事件に該当する投稿
デジタルタトゥーに該当する投稿は次のとおりです。
- 犯罪・逮捕歴
- 誹謗中傷
- バイトテロ
- 個人情報の掲載
犯罪や逮捕歴
犯罪や逮捕歴はもっとも消し去りたい過去であり、記事の削除申請も多いデジタルタトゥーです。冤罪を含め、一度逮捕されて実名報道されてしまったという過去の事実は消すことができません。
逮捕後に不起訴になれば有罪にはならず、前科もつきませんが、実名報道の場面をピックアップされ、最悪な瞬間だけが残り続けるというケースも考えられます。不祥事を起こした企業名や店舗名などが掲載される場合も、その場面だけが拡散されてしまうことが多く、将来に及ぼす悪影響は計り知れません。
誹謗中傷
匿名性を悪用した誹謗中傷やデマの投稿から炎上し、デジタルタトゥーとして残り続けることもあります。なかには明らかに悪意のあるデマを投稿され、誤解を招いて被害にあうケースもあり、企業にとっては深刻です。
しかし、悪質な誹謗中傷については、投稿者を特定することができます。そのため、法的な手続きを踏むことによって匿名でも誰なのかを特定し、責任を追及することが可能です。
バイトテロ
従業員やアルバイトによるバイトテロもデジタルタトゥーを引き起こします。新聞やテレビのニュースで取り上げられるバイトテロは飲食店が多い傾向があり、見る側が不快感を抱くものばかりです。当然、このような飲食店で食事を楽しみたいと思う人はいません。
お店側は懸命に再発防止の取り組みを訴えますが、客足が元に戻るまでは相当な時間がかかります。バイトテロによって企業側が大きな被害を受けた場合、問題を起こした従業員やアルバイトに対して損害賠償を請求するケースも増えています。
個人情報の掲載
個人情報の掲載から身元や職場が特定され、デジタルタトゥーとして残り続けてしまうこともあります。デジタルタトゥーが原因で犯罪や迷惑行為など、さまざま事件へ発展する恐れがあるため、個人情報の掲載については慎重に判断しなければなりません。
個人情報の流出は従業員の個人アカウントが原因であることが多く、生活圏内で撮った写真や動画は特に注意が必要です。何気ない投稿でも個人情報が隠れている場合もあるため、従業員のSNS利用については企業内でも注意喚起をおこなう必要があります。
デジタルタトゥー事件が企業へ及ぼす影響
デジタルタトゥーが企業へ及ぼす影響は次のとおりです。
- 炎上を招く
- 自社のイメージが低下する
- 従業員や家族にも被害が及ぶ
炎上を招く
デジタルタトゥーによって炎上を招いてしまうことがあります。企業がデジタルタトゥーを起こしている場合はもちろんですが、従業員やアルバイトの個人アカウントでのデジタルタトゥーが起きている場合も企業への攻撃は避けられません。企業に問題はなかったとしても、従業員の過去のデジタルタトゥーによって企業にクレームや誹謗中傷のコメントなどが多く寄せられ、炎上するケースもあります。
自社のイメージが低下する
デジタルタトゥーによって自社の商品やサービスのイメージ低下は避けられません。特に投稿内容に企業名や商品名などの明記がある場合は致命的となり、関連する取引先にも影響を及ぼすため関係も悪化します。
バイトテロによる衛生面で問題のある動画はインパクトが大きく、発生した店舗以外の店舗まで客足が途絶えるなど被害は拡大する一方です。また、従業員をしっかり教育できていない企業であると判断され、イメージの低下につながります。
従業員や家族にも被害が及ぶ
企業のデジタルタトゥーが原因で、従業員やその家族も誹謗中傷の対象となり、被害を受けるケースがあります。家族からその友人、知人へ拡散され、家族も周囲から偏見の目で見られてしまう可能性があり、子供の場合はイジメの原因にもなりかねません。デジタルタトゥーは企業や従業員だけでなく、その周りの家族や友人をも苦しめることになるため注意が必要です。
デジタルタトゥー事件が起きてしまった時の対処法
デジタルタトゥーが起きてしまった時の対処法は次のとおりです。
- 早急に削除する
- サイト運営会社に削除を依頼する
- 弁護士に相談する
早急に削除する
はじめに取るべき対処は、デジタルタトゥーの元の投稿を早急に自社で削除することです。拡散性が弱い投稿については自社で削除しただけでも有効です。しかし、拡散性が強い投稿については広がった範囲を特定することが困難であるため、自社で削除しただけでは有効とはいえません。拡散された投稿まで削除するには企業や個人の力だけでは不可能であり、専門の知識を持った機関に依頼することがもっとも有効です。
サイト運営会社に削除を依頼する
個人や企業がサイトの削除申請フォームや運営会社に対して削除を依頼することができます。しかし、注意すべきは、デジタルタトゥーの削除申請をおこなうことができるのは被害者本人と弁護士だけであり、代行業者によるものは違法になる点です。
誹謗中傷対策業者に相談する場合は非弁行為として違法であると判断されるケースがあるため注意が必要です。また、違法な業者からの申請があったとされ、サイト運営会社によって再びインターネット上で晒されてしまう可能性もあります。
弁護士に相談する
サイト運営会社側が任意に削除対応してくれず、それでも削除を希望する場合は弁護士などに相談することが大切です。ある程度の費用はかかりますが、企業や個人にとって深刻な問題である場合は弁護士に相談することが一番の得策です。サイト運営会社に削除申請する際も弁護士からの方が話がスムーズであり、運営会社とのトラブルにもなりにくいため安全です。
デジタルタトゥー事件を起こさないための対策法
デジタルタトゥーを起こさないための対策法は次のとおりです。
- 不適切な投稿をしない
- 個人情報は掲載しない
- ガイドラインを策定する
- 風評被害会社へ相談する
不適切な投稿をしない
デジタルタトゥーを起こさないために、もっとも重要なことは適切な投稿内容です。企業アカウントの投稿では、たったひとつの不適切な発言がデジタルタトゥーになってしまう可能性は大いにあります。不適切な発言とは、人種差別や宗教的、政治的なものを意味します。こうした発言は不特定多数の目に留まり、炎上といったトラブルにつながってしまうため、十分注意が必要です。
個人情報は掲載しない
基本的に個人情報は掲載するべきではありません。掲載する場合は、投稿を閲覧できる範囲を限定したり、プライバシーの細かい設定をしたりする必要があります。
特に写真を撮影する時は、埋め込まれた位置情報から個人情報が特定されやすくなるため、位置情報の設定をオフにするといった対策が必要です。企業の広告やホームページなどで従業員の情報を掲載する際は本人の許可を得たうえで掲載する必要があります。
ガイドラインを策定する
従業員の個人アカウントからデジタルタトゥーを生み出さないためにもガイドラインの策定が有効です。たとえば、従業員がSNSを利用する際に企業の情報を漏らさないことや企業の一員としての自覚を持つことなど、遵守してもらうべき点を取りまとめることが大切です。SNSやWEBサイトを利用するうえでのリスクを軽視している従業員も多いため、ガイドラインを策定することで情報発信におけるさまざまなリスクを十分認識させる必要があります。
風評被害会社へ相談する
自社だけで問題を解決できない場合は、風評被害会社へ相談することも対策のひとつです。風評被害会社とは、トラブルが発生する前やトラブルが起きて根拠のない噂や憶測が広まった際に、不利益の発生を極力おさえるサポートをする会社です。炎上や個人情報の漏洩などのリスクを回避することにもつながります。
まとめ
デジタルタトゥーとは、一度インターネット上に投稿された情報を簡単には削除できないという意味の造語です。企業にとってもWEBサイトやSNSの利便性は高いですが、個人情報の流出や誹謗中傷などのリスクも増えています。
その結果、デジタルタトゥーが起こりやすく、企業の将来に大きな影響を及ぼす事態となっています。デジタルタトゥーの被害にあわないために、不適切な投稿や個人情報の掲載をしない、従業員にもリスクを認識させるためのガイドラインを策定するなどの対策が必要です。
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