SNSにおけるトラブル事例とその対策

技術の発展が進み、情報の発信や取得、コミュニケーションの場としてTwitterやInstagramなどのSNSを利用しているユーザーが増えています。利用している年齢層も幅広くなっていることから、企業でもSNSマーケティングを積極的に活用するようになりました。

しかし、インターネット上でのトラブル件数も比例して増加しており、犯罪にまで発展する事例も増えています。SNSの活用は企業にとっても利便性が高い一方で、トラブルに巻き込まれる可能性も高いため、SNSを安全に利用するうえでの正しい知識が必要です。

SNSでトラブルが起きる原因

SNSでトラブルが起きる原因としては、不適切な投稿や個人情報の流出などが挙げられます。加えて、公式アカウントにおけるトラブルの多くは、意図と反して発生するケースもあります。

一方で、従業員の個人アカウントからトラブルに発展するケースについては、ほとんどがデジタルリテラシーの不足が原因です。デジタルリテラシーとは、デジタル技術を利用するための正しい知識を意味します。

本名登録が必要なFacebook以外のSNSは、匿名性や拡散性が高いことから、一度トラブルが発生してしまうと瞬く間に拡大してしまうのが特徴です。たとえ誤った内容だとしても拡散の波を止めることは非常に困難になります。

SNSにおけるトラブルの事例

SNSにおけるトラブルの事例は次のとおりです。

  • 炎上
  • 個人情報の流出
  • 従業員の不適切な投稿
  • 乗っ取りやなりすまし
  • 著作権問題

炎上

公式アカウントでの投稿が意図せずユーザーの反感をかってしまうケースがあります。炎上はSNS上のトラブルとして事例の数が多く、一旦火がつくと簡単にはおさまりません。

炎上は投稿内容に問題があったために起こるトラブルですが、意図せず炎上が発生するケースも多くあるため、炎上しやすいワードを使用しないというような対策が必要です。特にユーザーの多いSNSは、拡散性も高いため炎上しやすい傾向にあります。誤解を招いてしまうような表現には十分注意しなければなりません。

参考:2022年のSNS炎上総数は247件、会社員なら覚えておきたい「炎上さしすせそ」(DIME)

個人情報の流出

ハッキングやサイバー攻撃、企業のセキュリティ不備などから顧客情報や企業にとって重要な情報が流出してしまうこともあります。SNS運用を通して企業が集客をおこなう際、多くの顧客情報を取得することになるため、セキュリティ対策やデータの管理体制は万全でなければなりません。

また、従業員の個人情報を特定できるような投稿をしてしまい、従業員がトラブルに巻き込まれてしまうケースもあります。投稿から個人が特定できてしまう情報を掲載していないか十分な確認が必要です。

従業員の不適切な投稿

従業員による悪ふざけのような不適切な投稿がたびたびニュースに取り上げられていますが、こうした行為から企業全体が非難され、トラブルの原因となることも年々増えています。従業員による不適切な行為は見る人を不快にさせ、教育がしっかりできていないと企業だと判断されかねません。

また、個人アカウントから顧客情報や機密情報などが流出したり、内部不正によるアクセスによって情報が流出するケースもあります。従業員の個人アカウントについては、プライバシーの問題もあるため監視するには限度がありますが、SNS利用について、ある程度のルールの取り決めは必要です。

乗っ取りやなりすまし

企業アカウントが乗っ取られて顧客情報を引き出され、詐欺行為に悪用されるケースもあります。また、乗っ取りよりも増えているのが偽アカウントからのなりすましです。

ユーザーが偽アカウントを企業の公式アカウントであると勘違いし、個人情報などの入力に応じてしまう事例は増えています。アカウントの乗っ取りやなりすましのトラブルを回避するためには、怪しいメッセージやメールは開かないよう企業側からも警戒を呼びかけるなどの対応が必要です。

参考:【解説】ツイッター“偽アカ”続々…有名人・有名企業に“なりすまし” 元従業員「Webが維持できる規模じゃない」(日テレNEWS)

著作権問題

著作物を無許可でアップし、著作権侵害などのトラブルが発生するケースもあります。違法だと知りながら著作物をダウンロードすることはもちろん、営利目的ではなくても懲役または罰金などが科せられることがあるため著作物については十分注意しなければなりません。著作権者は法律で守られていることを意識し、無料で使用できる画像であってもルールに沿って使用することが重要です。

SNS上でのトラブルが企業へ及ぼす影響

SNS上でのトラブルが企業へ及ぼす影響は次のとおりです。

  • 社会的信頼が低下する
  • 取引先との関係が悪化する
  • 離職者が増える

社会的信頼が低下する

SNSでのトラブルで企業に対する信頼が損なわれる可能性があります。特に個人情報の流出については法的な措置を取られることもあるため深刻な問題です。

法的にも重要である個人情報を取り扱う企業の情報流出は、もっとも発生させてはいけないミスであり、情報の管理体制が悪い会社だと判断されても仕方ありません。また、一度失った信頼を取り戻すのは非常に困難であり、信頼回復には長期の時間を要することになります。

取引先との関係が悪化する

社会的信頼が低下すると同時に、取引先や銀行からの信頼も失われ、良好だった関係にも悪影響を及ぼします。商品やサービスに関係の深い取引先は自社にも影響が及ぶことを恐れ、契約の停止を求められる可能性もあり、企業にとっては大きなダメージになります。また、企業の信頼性や安全性を重視している銀行からの融資も受けづらくなり、安定した経営が困難になります。

離職者が増える

企業のイメージが悪くなると従業員も自社に対して不信感や不安を抱くようになり、離職者が増える可能性があります。離職者の増加は、有能な人材の流出や従業員のモチベーション低下、一人ひとりの生産性の低下にもつながり、売上や利益に影響を及ぼすほどの問題です。また、トラブルを起こして騒ぎになった企業というレッテルが貼られてしまうと、求職者が減る可能性もあります。

SNS上でトラブル発生時の対応策

SNSでトラブル発生した際の対応策は次のとおりです。

  • トラブルの原因を明確にする
  • 弁護士に相談する
  • 風評被害対策会社へ相談する

トラブルの原因を明確にする

トラブルが発生してしまったら早急に原因を明確にすることが大切です。たとえば炎上が発生する背景には、必ず火種となる投稿があるはずです。投稿内容のどの部分に問題があったのかを冷静に分析し、反論や訂正をするべきか、放置しておくべきかの判断をします。

初期対応を誤ってしまうとさらにトラブルが発展する可能性があるため、謝罪が必要な場合は誠意ある態度で対応することが重要です。そのうえで問題となった投稿を削除し、できるだけ被害を最小限におさえることに徹する必要があります。

弁護士に相談する

誠意ある対応をしたにもかかわらず、しつこい誹謗中傷などを受けた場合は弁護士に相談し、法的な対応も検討してください。企業側で問題の起きた投稿を削除できたとしても、拡散された情報をすべて削除することはできません。

情報はインターネット上に残り続け、悪意あるユーザーによって再び世に出てくる可能性は十分にあります。こうしたトラブルを解決するには企業や個人だけでは困難であり、弁護士を通した対応が有効です。費用はかかってしまいますが、企業の将来にわたる損失を考えればやむを得ません。

風評被害対策会社へ相談する

風評被害対策会社に相談するのもひとつの対応策です。風評被害対策会社とは、SNSやインターネット状で表示される自社へのネガティブな投稿に対応してくれる専門業者です。自社だけで対応できるリソースがない場合は、風評被害対策会社に依頼をすることで、SNSで起きたトラブルに対して適切な処置が可能です。

まとめ

企業でのSNS運用はリスクはあっても利用価値は高く、マーケティングには欠かせないものです。しかし、企業側だけが細心の注意を払っていても、従業員の個人アカウントから炎上や個人情報流出などのトラブルに発展するケースもあります。

ほかにもSNSではさまざまなリスクが想定されますが、トラブルを完全に回避することはむずかしい状況です。そのため、被害を最小限におさえる対応策として、トラブルの早期発見や迅速な対応が求められます。

参考URL

https://www.soumu.go.jp/main_content/000707803.pdf
https://www.fuhyo-bengoshicafe.com/bengoshicafe-16624.html
https://www.alsok.co.jp/person/recommend/194
https://itbengo-pro.com/columns/121
https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202110_03.pdf
https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/case/copyright.html
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