広告炎上事例と対策方法について解説

企業のイメージアップや商品、サービスの販売促進のため、消費者は日常的にさまざまな形で企業広告を目にする機会があります。これまでの新聞や雑誌掲載、テレビCMなどから、現代ではインターネット広告と呼ばれるWEBサイトやSNS上で目にする機会も当たり前になりました。広告運用の利便性が高まっていますが、企業は潜在するリスクを把握する必要があるため、リスクに対する対策や対処法を講じておくことが重要です。

広告における炎上とは

広告における炎上とは、特定の広告に対して批判的な意見が発信され、広く拡散してしまう現象です。SNSに不適切な内容や差別を含むような投稿は炎上しやすいと理解できますが、ときには意図せず批判を浴びてしまうケースも起こります。また、SNS以外の広告であってもSNSを利用して拡散されることが見受けられるようになりました。

消費者のクレームによる炎上は、広告によって商品に対する期待値をあまりにも引き上げてしまうことで起こり得るリスクです。このような広告は危険であり、景品表示法に該当してしまう場合もあるため注意が必要です。

広告に潜在する炎上リスク

広告に潜在する炎上リスクは次のとおりです。

  • 従業員の個人的な見解
  • 有名タレントの起用

従業員の個人的な見解

広告における炎上には、従業員の個人的な見解による不適切な表現が原因で発生するケースがあります。特に人種や性別などの差別や政治、宗教的な内容を含むものは炎上する可能性が高く、広告を制作する際はリスクを十分認識しておかなければなりません。企業内で、広告の運用体制が属人化している企業は特に注意が必要です。

有名タレントの起用

多くの企業で有名タレントを起用した広告が出稿されていますが、有名タレントの不祥事によって企業のイメージまで失墜するリスクがあります。特に覚醒剤や大麻、不倫などのスキャンダルは、本人のイメージダウンとともに、そのようなタレントを起用した企業側のイメージダウンも免れません。広告イメージキャラクターを設定することは消費者にとってインパクトを与える一方で、共倒れになるリスクもあるため注意が必要です。

広告における炎上の事例

広告における炎上の事例は次のとおりです。

  • スシロー
  • Gap
  • Twitter(X)
  • ビッグモーター
  • 花王メリット

スシロー

大型回転寿司チェーン店のスシローがおとり広告をおこなったとして炎上しました。おとり広告とは、商品を実際に購入できないのにもかかわらず、購入できるような表示をしたものであり、消費者を騙すような手口といえます。

スシローは広告上で寿司ネタを安く提供すると表示しながらも、開店早々から品切れが相次いだことから消費者の反感を買いました。スシローの事例はテレビでも大きく報道され、消費者庁からも景品表示法違反が該当するとして措置命令が下されました。

参考:スシローは「おとり広告」問題の本質を理解しているか おわび文書に“違和感”を覚えたワケ(IT mediaビジネス ONLINE)

Gap

アメリカのアパレル業で有名なGapが子供服の宣伝のために作った広告が差別的だとして炎上しました。広告の写真には白人と黒人の子供たちがそれぞれ自由なポーズを取った姿で写し出されているものですが、黒人の子供が白人の子供に押さえつけられていると指摘されたのです。

企業側に差別的な意図はまったくありませんでしたが、謝罪と広告の出稿を停止しました。このように多様なモデルを起用する際は、人種差別などに細心の注意を払わなければなりません。

参考:この広告が、なぜ炎上したのかわかりますか(東洋経済 ONLINE)

Twitter(X)

アメリカの起業家であるイーロン・マスク氏がTwitter社を買収した後、炎上し、日本でも大きく報道されました。イーロン・マスク氏はTwitterの主な収益源であった広告収益を下げ、サブスク型のサービスを新たな収益源にする考えを示しました。

しかし、2022年10月に取締役をはじめとする大量の従業員解雇などをおこなったことで多くの人から批判を浴びたのです。このような炎上騒ぎを懸念した世界的大手企業はTwitterへの広告出稿を一時停止するという騒動もあり、広告収益が大きいTwitter社の動向が注目を集めました。

ビッグモーター

ビッグモーターの不祥事では、広告キャラクターとなっていた有名俳優を巡ってSNSでは議論が展開されました。企業側の不祥事であるため有名俳優は無関係だという意見がある一方で、不正発覚から広告契約解除に踏み切るまでが遅かったことから、詐欺の片棒を担いでいるという意見もあります。企業側の不祥事でタレントが議論の対象となってしまった事例であり、タレントによる不祥事で企業側が被害を受けるケースとは真逆なパターンです。

参考:佐藤隆太 遅すぎたビッグモーター「CM降板」長期広告塔で直面する〝片棒担ぎ〟の声(FRIDAY DIGITAL)

花王メリット

花王メリットの公式Twitterにて、国際カミングアウトデーに合わせた投稿が炎上しました。国際カミングアウトデーとは、LGBTQの人々をお祝いする日という意味合いだったのにもかかわらず、まったく意味の違った商品のPRに利用してしまったことで批判を浴びたものです。しかし、この一件から国際カミングアウトデーを知った人も多く、前向きに捉えられる意見も多くありました。

参考:花王メリット『国際カミングアウトデー』投稿で謝罪 「面倒な世の中」と非難に疑問の声も(中日スポーツ)

広告における炎上対策

広告における炎上対策は次のとおりです。

  • ガイドラインを策定する
  • モニタリングの仕組みをつくる
  • 専門家のアドバイスを受ける

ガイドラインを策定する

これまでの広告の制作におけるルールに加えて、SNSを活用する際はガイドラインの策定が必要です。従業員が個人的な意見を述べる際の注意点や不適切な表現、発言の禁止など、ガイドライン策定によって情報の品質を保つことができます。投稿の際にはガイドラインを満たしているかを確認することで炎上リスクを大幅に低下させることが可能です。

モニタリングの仕組みをつくる

炎上の防止や炎上被害を最小限におさえるためにモニタリングの仕組みを構築する必要もあります。モニタリングをすることで炎上の火種となる部分を早期に発見し、拡散される前に対処することで被害を最小限におさえることが可能です。モニタリングを自社でおこなう場合には専用ツールの活用が必要になりますが、外部に委託することもできます。

専門家にアドバイスを受ける

企業内部だけで判断できない部分がある場合は、外部の専門家にアドバイスを受けることも得策です。特に炎上が発生してしまったときの事後対応は社内が混乱し、冷静な判断ができなくなる恐れがあるため、専門家による冷静な意見を取り入れることも必要です。専門家であれば謝罪会見での態度や謝罪文章についてのアドバイス、サポートも受けられ、企業の早期信頼回復につながります。

広告における炎上時の対処法

広告における炎上時の対処法は次のとおりです。

  • 事実確認をする
  • 適切な謝罪対応をおこなう

事実確認をする

炎上した際は問題となった広告について事実確認をおこない、何が起きているのかをしっかり把握することが先決です。事実かどうか曖昧なまま謝罪会見や謝罪文の掲載などをおこなってしまうと、内容に一貫性がなくなり、さらに批判は強くなります。しっかりと事実確認をしたうえで、謝罪や経緯の説明が必要であるかを判断する必要があり、炎上が拡大する前にできるだけ迅速なスピードでおこなうことも重要です。

適切な謝罪対応をおこなう

謝罪が必要な場合は、誠意ある謝罪を心がけ、問題が起こった経緯の説明や今後の再発防止についての見解も示すことが重要です。謝罪対応に問題があると再び反感を買い、二次炎上するリスクもあるため、謝罪態度や発言は慎重におこないます。こうした事後対応は今後の信頼回復にも大きくかかわるため、もっとも重要な局面です。

まとめ

広告における炎上とは、特定の広告に対して批判が集中し、広く拡散される現象です。企業は炎上リスクを十分把握したうえで適切な広告運用を心がけなければなりません。

しかし、結果的にどのような企業でも炎上を完全に防止することはできません。そのため、企業における広告運用では、炎上を発生させないための対策と、万が一に発生してしまった時の適切な対応が重要です。

参考URL843

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