ブラック企業は「企業名を公表」の時代に!ネット上で会社の評判を守る為に…

ブラック企業名公表

2015年5月、厚生労働省が労働環境が劣悪な「ブラック企業」のうち、違法残業が複数の事業所で行われている大企業については書類送検される前でも企業名を公表すると発表しました。

「ブラック企業」名の公表は、早期の是正を促すのが目的で、厚労省では

・違法に月一〇〇時間を超える残業が行われるなどして複数の支店や営業所が是正勧告を受け、その回数が一定以上に達した大企業について企業名を公表する、

という方針で、「公表の対象となるのは、資本金や従業員の数が一定以上の大企業」として運用を始めるとしたことも背景となり、大手から労働環境の整備が進みました。

ブラック企業の定義

max85_gominonakasagyou20141123131607_tp_v

もともと、「ブラック企業」というのは定義が明確ではなったのですが、労働時間が違法である、という意味合いを強く持つワードでした。

実際に、Wikipediaでは、「ブラック企業またはブラック会社とは、広義としては暴力団などの反社会的団体との繋がりを持つなど違法行為を常態化させた会社を指し、狭義には新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業を指す」とされていました。

ところが、2017年にはWikipediaにも、「従業員の人権を踏みにじるような全ての行為を認識しつつも適切な対応をせずに放置している企業」との指摘があることが追記され、ブラック企業の認識が少しずつ変わってきています。

人権を踏みにじるような、の事例を挙げると、以下のようなものが挙げられます。

  • パワハラを見過ごす社風がある(内部通報制度がない)
  • 社内にイジメがある(必ずしも上司からとは限らず部下や同僚からの事例もあり)
  • タイムカードを実態通りに押せない
  • 男性の育休取得が容認されない
  • 人事制度がない、あるいは不公平感がある
  • 休日に電話やメールが来る(たとえ些細なことであったとしても)

人権を踏みにじる、という表現は行き過ぎだとしても、そのほか以下のようなセキュリティに不安のある状態や、将来性に疑問が感じられる状態も「ブラック的な企業」とされる例も散見されます。

  • 社用の携帯電話やノートパソコンが支給されない
  • 宗教のような会社イベントがある
  • 福利厚生が少ない
  • 離職率が高い
  • 商品やサービスに将来性が感じられない

労働時間に照らし合わせてブラックかどうか、を問われた時代は過ぎ、労働者目線で「ブラック的である」と判断されるようになった、というわけです。

会社の評判を守る

max88_shinzouwosasageru20141025133814_tp_v

ことは、以前ほど単純ではありません。

もちろん、労働基準法においては、企業側の責務として、労働時間、休日、深夜業等について、労働時間を適正に把握、労働時間を適切に管理しなければなりませんが、多くの企業でこの点は既に守られています。

ですから、、事実と異なる投稿があれば、削除申請などによって正しい情報に戻すことができるのですが、前述の通り、見られているのは、「ブラックかどうか?」ではなく、「総合的に労働者にとって都合のよい環境かどうか」、です。少しでも都合が悪いと感じることがあれば、容赦なくネットに書かれる時代に、どのように企業のブランドを守ってゆけば良いのでしょうか?

コンプライアンスの先

繰り返しになりますが、以前よりブラック企業対策として、多くの企業が単純な法令違反から厳しく取り締まってきた結果、企業にとって、もはやコンプライアンスは当たり前、遵守するのが当然のことになりました。つまり労働時間を守っているだけでは、「ブラック的」の誹りを免れることができないのです。

ですから、私たちは、かつてないほど「従業員満足度」を見据え、どうやって楽しく発展成長していくかというテーマで話し合ったり、企業の将来を考えていかなくてはならないようです。

そして、以前の「ブラック企業=違法労働」と違って、明確な答えがないからこそ、会社側が様々な改善の姿勢を見せ、会社のブランドアップに対して、たゆまぬ努力を続けるほかありません。

ただし、注意したいのが、こうした企業の口コミの多くが「離職を考えているとき」に発生するものだということです。つまり、離職の多い企業ほどネガティブになりやすい傾向にあるため、募集の段階から以下を考えることは、とても重要です。

  • ミスマッチのない募集の出し方
  • 入社後活躍できるかどうかの見極め

まとめになりますが、令和の現在、労働基準監督署が入るような「ブラック」企業は、非常に少なくなりました。次に考えるべきことは、「ブラックかどうか」ではなく、「ブラック的」という口コミからいかに脱却するか?です。

言うは易く行うは難し、の問題であることは承知の上で、できる限り「良い採用」を目指していただければと思います。

風評被害の教科書 の他の記事