企業の風評被害を防ぐ4つの対策!対処法や相談先も詳しく解説
- 風評被害
風評被害とは、事実と異なる噂や誤った情報が広まることで生じる社会的・経済的な損害を指します。近年ではSNSの普及に伴い情報の拡散スピードが速くなったことで、企業の風評被害が増えています。しかし「風評被害を防ぐために何をすれば良いか分からない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、企業の風評被害を防ぐ4つの対策について詳しく解説します。実際に風評被害を受けたときの対処法や相談先も紹介しているので、広報担当の方はぜひ参考にしてみてください。
企業に風評被害対策が求められる2つの背景
近年、企業における風評被害対策の必要性が高まっています。ここでは、企業に風評被害対策が求められる以下2つの背景を見ていきましょう。
- SNSの普及による情報拡散の加速
- 消費に対する価値観の変化
風評被害は、どんな企業でも当事者になる可能性があります。風評被害対策を講じるにあたって、まずは必要性が高まっている理由を理解しましょう。
SNSの普及による情報拡散の加速
SNSの普及により、以前よりも情報の拡散スピードが格段に速くなりました。SNSは拡散力が高い一方で、事実とは異なる噂や誤った情報が多くの人に伝わってしまうリスクがあります。特に企業に関する情報はユーザーの注目を集めやすく、拡散されやすいのが特徴です。
誤解や偏見がSNS上に出回ると、企業の信頼度やブランド価値低下につながります。SNSは有益な情報を広められる一方で、信ぴょう性のない内容も簡単に広まってしまうため、風評被害対策の重要性が高まっています。
消費に対する価値観の変化
近年、消費者の価値観は価格や品質に魅力を感じて購入する「モノ消費」よりも、体験や経験に価値を見出す「コト消費」にシフトしました。以前よりも容易にモノを手に入れやすくなり、物質的な欲求は満たされていることが理由として挙げられます。
消費者の価値観が「コト消費」に変化したことで、商品を通じてどのような体験や経験を得られるかも重要視されるようになりました。そのため有名な企業の商品やブランドでも、不正が起きたり環境へ悪影響を及ぼしたりするものであれば、消費者は購入を控える可能性があります。
消費者は単に商品を所有するだけでは得られない感情的な豊かさも求めるようになり、風評被害による企業への信頼やブランド価値低下のリスクが高まっている状況です。風評被害が企業の売上に大きな影響を与える時代になったことで、より徹底した対策が求められています。
風評被害を未然に防ぐ4つの対策
SNSの普及や消費に対する価値観の変化により、企業における風評被害対策の必要性が高まっています。ここでは、風評被害を未然に防ぐ以下4つの対策を見ていきましょう。
- 社内でSNSガイドラインを作成する
- 従業員の教育を行う
- 危機管理体制を整備する
- インターネット上での自社に関する投稿をモニタリングする
企業の風評被害を防ぐためには、社内体制を構築することが不可欠です。社内で行うのが難しい場合は、専門業者への依頼を検討しましょう。
社内でSNSガイドラインを作成する
SNSガイドラインとは、企業や個人のアカウントでSNSを利用する際のルールです。近年は従業員の投稿が原因で、風評被害が発生するケースが増えています。そのため、企業側でSNS投稿する際の注意点や禁止事項を明確にすることが重要です。
具体的には「差別と捉えられるような発言はしていないか」「炎上危険日ではないか」などをリストにまとめるのが効果的です。炎上危険日とは、過去に大きな災害などが発生している日を指します。投稿内容によっては不謹慎・無神経という理由で炎上につながる可能性があるため、この日は避けた方が無難です。
また、禁止事項には「特定の企業名・個人名を出さない」「顧客や取引先から得た情報をSNS上で共有しない」など、明確に記載するようにしましょう。SNSガイドラインを作成することで、発信した内容がきっかけとなって風評被害が発生するリスクを最小限に抑えられます。また、ガイドライン違反を起こした際のときの罰則も規定しておくと、従業員に遵守させやすくなります。
従業員の教育を行う
風評被害を未然に防ぐためには、従業員の教育を通じた不祥事が起きない仕組みづくりも重要です。SNSガイドラインの作成に加えて、SNSの利用に関するリスクを学ぶ研修を定期的に行いましょう。
従業員を教育することで、ネットリテラシーの向上が期待できます。従業員一人ひとりの風評被害に対する意識も高まるため、常に発言内容やプライバシー保護に注意したSNS運用が可能となります。
具体的な炎上事例も挙げながらSNSリスクを説明することで、危機感を抱かせられます。炎上した結果どのような影響を受けたのかを伝え、風評被害が企業にもたらす損害への理解を促しましょう。
危機管理体制を整備する
万が一、企業が風評被害を受けたときに備えて、速やかに対応できる危機管理体制が必要です。対応が遅れたり不適切な反応をしたりすると、事態がより悪化してしまうケースがあります。
対応する際の手順や意思決定に関わる人を明確にしておくと、風評被害が発生したときに関係者がすぐ動けるようになります。危機管理体制の整備は、企業の風評被害を最小限に抑えるために不可欠です。
インターネット上での自社に関する投稿をモニタリングする
風評被害を早期に察知するためには、インターネット上で発信される情報の中から自社に関する投稿をモニタリングすることが大切です。日々のモニタリングによって、問題が拡大する前に適切な対応を取れるようになります。
具体的には、自社名や製品名などのキーワードに基づいてインターネット上の投稿を監視しましょう。風評被害の原因になりそうな投稿を見つけたときの対応方法も決めておくと、スムーズに次の行動へ移すことができます。
社内でモニタリングするのが難しい場合は、風評被害対策に特化した業者に依頼するのがおすすめです。
企業が風評被害を受けたときの対処法4ステップ
企業が風評被害を受けたときは、迅速な対応が求められます。ここでは、具体的な対処法を4つの手順に分けて見ていきましょう。
- 事実関係を確認する
- 声明文を発信する
- 風評被害の原因となった投稿の削除を依頼する
- 法的措置を検討する
風評被害を最小限に抑えるためには、広報や原因となった部署などが連携し、事実関係の確認から始める必要があります。
事実関係を確認する
企業が風評被害を受けたときは、
・最初に出回っている情報が事実であるのか、
・被害者はいるのか
・被害感情を持ちうる人物は誰か
の3点を確認する必要があります。
経営陣がよく事実確認ができていない段階で否定をしたり、社員(身内)をかばうような発言をすると、火に油を注ぐことになりかねません。現場で実際に発生した内容であった場合、さらなる批判にさらされる可能性が考えられるからです。またネット上には、当事者以外の「第三者」が、必ず存在しています。当事者が「良い」と言っても、第三者による「それは酷い」という被害感情によって、風評被害が悪化するケースが後を経ちません。
大事なのは、事実関係の確認と、被害者、そして被害感情を持ちうる人物の全てに対して配慮のある対応を行うことにあるのです。
そのため、企業が風評被害に関する声明を発信する前に、事実関係をしっかり確認することが大切です。仮に風評被害が事実に基づかない内容であれば、証拠を集めていつでも誤りを証明できるように準備しておきましょう。
声明文を発信する
事実関係の確認が終わったら自社の落ち度の有無に関わらず、声明文を発信しましょう。このような声明文は、ポジションペーパーとも呼ばれます。
声明文を出す場所としては、自社のWebサイトやSNSなどが挙げられます。より多くの人の目に触れるように、複数の場所に掲載するのがおすすめです。
ただし、企業の「公式見解」とみなされますので、十分に熟慮の上作成されたものでなくてはなりません。その点から、危機管理の専門家の指導の下に作成をすることがベストですが、最近では危機管理研修としてポジションペーパーを作成するような内容のものも増えていますので、研修を通じて学んだ要素を取り入れて、自社で作成し、最後専門家のチェックを経る、という形も良いでしょう。
繰り返しになりますが、重要なことは、正しいか正しくないか、事実か事実でないか、ということではなく、「被害者はいるのか」「被害の範囲はどれほどか」「被害感情を持ち得る人に配慮はあるのか?」という点にあるのです。ここを見誤ると、ポジションペーパーが火消しに繋がるどころか、より風評被害を加速させることに繋がりかねません。
風評被害の原因となった投稿の削除を依頼する
インターネット上で誤情報や中傷的な内容が拡散されている場合、削除依頼を出すことができます。具体的には、投稿が掲載されているSNSや匿名掲示板の運営会社・運営者に連絡するのが一般的です。
削除依頼をする際は「なぜその投稿が問題なのか」「どのように事実と異なるのか」も説明しましょう。誤情報によって企業が風評被害を受けている旨を明示することで、運営側の理解を得やすくなります。しかし、全ての運営会社・運営者が削除依頼に対応してくれるとは限りません。
風評被害の原因となった投稿が残るとさらに拡散されてしまう可能性が高いため、削除してくれない場合は裁判を検討しましょう。
法的措置を検討する
風評被害が企業に大きな損害をもたらす場合は、法的措置の検討が必要です。投稿者を特定したうえで名誉毀損罪や信用毀損罪などに問い、損害賠償請求を行います。投稿者を特定するためには、SNSや匿名掲示板などの運営会社・運営者に対して、ユーザーの情報開示を求めるのが一般的な流れです。
WebサイトによってはIPアドレスの開示を求め、プロバイダーを特定してから投稿者の情報開示を請求するケースもあります。風評被害に対して法的措置を取るかの判断は、損害の大きさや企業ブランドへの影響なども含めて検討しましょう。
企業が風評被害を受けた際の3つの相談先
企業が風評被害を受けたときは、外部に相談することをおすすめします。ここでは、企業が風評被害を受けた際の以下3つの相談先について見ていきましょう。
- 弁護士
- 警察
- 風評被害対策業者
風評被害への対処は、自社だけで行うのが難しいケースが多いです。外部に相談することで、適切な方法でスムーズに解決できるようになります。
弁護士
風評被害で大きな損害が生じた場合は、投稿した人物に対して法的な措置を検討できます。ただし、法的措置を取る際は以下のような専門的な手続きが多く発生するため、弁護士に依頼するのが一般的です。
- 風評被害の原因となった内容を投稿したIPアドレスの開示を請求する
- コンピューターの利用履歴(ログ)の削除停止請求を行う
- インターネットプラパイダーに対して特定したIPアドレスに紐づく個人情報の開示を請求する
- 民事裁判もしくは刑事裁判を通じて投稿者に責任を追及する
企業が法的措置を取る場合は、多くの時間と労力がかかります。しかし、悪質な投稿によって発生した風評被害には、堅実な対応です。早い段階で弁護士に相談することで、風評被害に対する迅速な対応が可能となります。
警察
犯罪性の高い風評被害の場合は、都道府県警に設置されているサイバー犯罪相談窓口に被害届を提出するのが有効です。特に企業や特定の従業員を脅迫するような投稿には、迅速な対応が期待できます。しかし、一般的な風評被害に関しては調査が始まるまでに時間がかかる可能性があるため、以下のポイントを押さえて相談することが重要です。
- 企業の所在地を管轄する警察署に相談する
- 会社の経営陣が警察署に出向く
- 会社案内などを持参し、事業概要を説明する
- 風評被害の原因となった投稿を提示する
- 投稿が虚偽の内容であるとを証明するための資料を提示する
風評被害に対して刑事告訴するためには、証拠が非常に重要です。風評被害の原因となった投稿をスクリーンショットで保存するときは、内容だけでなく日時やURLも分かるようにしましょう。
風評被害対策業者
風評被害対策業者は未然に防ぐ方法や損害を最小限に抑える対処法など、さまざまなノウハウを持っているのが特徴です。専門の業者に相談することで「誤情報が拡散して自社だけでは事態を沈静化できない」「風評被害の再発を防止する方法が分からない」といった悩みを解決できます。
ソルナ株式会社では「カイシャの病院」という企業の風評被害対策サービスを提供しています。風評被害の対策は状況に合わせて適切な方法が異なるので、自社で対応するよりもプロに相談するのがおすすめです。
風評被害の対策なら専門業者へ依頼するのがおすすめ
近年、SNSの普及や消費に対する価値観の変化により、企業における風評被害の必要性が高まっています。どの企業でも風評被害を受ける可能性があるため、適切な対策が不可欠です。具体的な方法として、SNSガイドラインを作成したり、従業員を教育したりすることが挙げられます。
対策を講じても風評被害を受けたときは、事実関係の確認を行ったうえで声明文を発信しましょう。ただし、自社だけで事態を沈静化するのは難しいため、風評被害対策業者に依頼することをおすすめします。
株式会社ソルナでは「カイシャの病院」という風評被害対策サービスを提供しています。全員がブランドドクターの有資格者であり、問題を的確に分析・対応したうえで迅速に解決できるのが強みです。また、風評被害の対策・対処だけでなく、再発防止にも対応しています。風評被害対策に関してお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。