風評被害への損害賠償請求ができる3つの条件!実施手順や3つの事例も紹介

風評被害は売上や株価の低下など、企業に大きな損害をもたらす可能性があります。その一方で、SNSで誰もが気軽に情報を発信できるようになり、企業が風評被害を受けるリスクが高まっています。実際に以前と比べて、企業における風評被害の件数は増えているのが現状です。

実際に風評被害にあった場合、自社が被った損害に対して賠償請求ができるか気になる方も多いのではないでしょうか。そこで今回の記事では、風評被害に対する損害賠償請求が可能となる3つの条件について詳しく解説します。実際の手順や過去の事例も紹介するので、風評被害でお悩みの方はぜひ参考にしてください。

風評被害に対する損害賠償請求が可能となる3つの条件

企業が風評被害を受けた場合、損害賠償請求を行うことができます。ただし、損害賠償請求を成功させるためには、以下3つの条件を満たす必要があります。

  • 違法性がある
  • 加害者を特定できる
  • 経済的損失を立証できる

違法性のある行為でも投稿の内容が手元になかったり、経済的損失を立証できなかったりすると、損害賠償請求を行えない可能性があります。そのため風評被害を受けたときは、証拠を残すことが非常に重要です。

違法性がある

風評被害で損害賠償請求を行う際は、加害者の行為に違法性があることが前提です。デマ情報や誹謗中傷の投稿に、名誉毀損や信用毀損など法律上の違反が認められる必要があります。悪い批評や意見の書き込みだけでは、違法性が認められる要件として不十分なので損害賠償請求はできません。

一般に、「死ね」「殺す」「夜道に気を付けろ」と言った暴力行為に当たるものや、個人情報の流出などについては、警察への被害届によって、速やかに違法性が認められ、発信者特定にも繋がりますが、噂話や、愚痴不満レベルの投稿は、弁護士への相談によって、判例と照らし合わせて特定ができそうかどうかを確認しながら進めることになります。

特定には、企業や人の名誉・信用を傷つける内容が必要であり、社会的評価を下げるかどうかも重要な判断基準となります。加害者が批判の範囲を超えて誹謗中傷に該当する発言をしたり、意図的にデマを拡散して特定の組織や人の社会的評価を下げたりした場合は、違法行為とみなされる可能性が高いです。

加害者を特定できる

企業が損害賠償請求をするためには、デマを広めた投稿者を特定する必要があります。なぜなら、告訴状には、被告となる加害者の氏名と住所の記載が求められるからです。加害者を特定するためには、SNS・掲示板の運営会社やプロバイダーに発信者情報の開示請求を行います。

担当者が個人で加害者を特定するのは非常に難易度が高く、時間もかかるため風評被害の経験豊富な弁護士に相談しましょう。風評被害を受けたときは、迅速に対応することで損害を最小限に抑えられます。また、損害賠償請求の手続きを進めている間に、風評被害の原因となった投稿が削除されてしまう可能性があります。

証拠がなくなると損害賠償請求が難しくなるため、必ず投稿のスクリーンショット・URLを保存しておくことが大切です。

経済的損失を立証できる

風評被害の損害賠償請求を行う際は、違法行為による経済的損失を立証する必要があります。風評被害によって「どのくらいの損失が出たのか」、証拠に基づいて客観的に提示しなければなりません。損害の証明ができない場合、損害賠償の金額が減額されたり、請求が認められなかったりする可能性があります。

しかし、企業の信用度やブランド価値の低下に対して、正確な損害を算出するのは難しいです。売上減少や株価低下など、数字として表れない被害に関しては全て証拠として保管しておきましょう。例えば、電話で営業妨害を受けた場合は録音データ、メール・FAXであれば文書をそのまま残すことが大切です。

風評被害によってインターネット上での誹謗中傷が増えたときは、全てスクリーンショットで保存し、URLも記録しておくことをおすすめします。

企業が風評被害による損害賠償請求をするときの手順

条件を満たすことで、風評被害の損害賠償請求が可能となります。ここでは、実際に企業が風評被害による損害賠償請求をするときの手順について詳しく見ていきましょう。

  • 風評被害の原因となった証拠を集める
  • IPアドレスなどの開示請求を行う
  • 加害者に対して損害賠償請求を行う

損害賠償請求を行う際は、証拠集めが非常に重要です。投稿が削除される可能性もあるので、迅速な対応が求められます。

風評被害の原因となった証拠を集める

風評被害を証明するために、証拠を集めることが重要です。風評被害の原因となった投稿を見つけ次第、スクリーンショットで保存しましょう。発言内容だけでなく、URLや日時も確認できる状態にすることが大切です。

証拠を集めていることを加害者に察知され、投稿を削除されてしまう可能性も考えられます。時間が経つほど証拠集めは難しくなるので、風評被害にあったときは迅速に原因となった投稿を保存することが求められます。

IPアドレスなどの開示請求を行う

デマを広めた加害者の氏名・住所を調べるためには、投稿する際に使用したIPアドレスが必要です。その後、開示されたIPアドレスを用いて、プロバイダーを特定します。IPアドレスの開示請求は、加害者が投稿したSNS・掲示板の運営会社や運営者に対して行いましょう。

ただし、運営元がログを保管する期間は「3ヶ月程度」が平均と言われています。情報開示には時間がかかるケースが多いため、早めに弁護士と連携して対応することが重要です。開示請求に対応してくれない場合は、訴訟提起も視野に入れる必要があります。

加害者に対して損害賠償請求を行う

IPアドレスやプロバイダーの開示請求によって加害者を特定できたら、最後に損害賠償請求を行います。風評被害による損失を算出し、内容証明郵便で請求書を送付しましょう。この段階で加害者が今後書き込みを行わないことを約束し、損害賠償金の支払いが完了すれば解決です。

損害賠償金を支払ってくれない場合は、民事調停または民事訴訟を提起することになります。民事調停は裁判所を通じて話し合いで解決を目指す方法で、比較的コストを抑えられるケースが多いです。

名誉毀損や業務妨害などの刑事罰にも該当するときは、刑事告訴も検討しましょう。

いずれにせよ風評被害の損害賠償請求には、時間と労力が多くかかります。知識と経験が豊富で信頼できる弁護士に相談し、サポートを受けながら進めることが重要です。

風評被害で企業が損害賠償請求を行った3つの事例

企業は法的手段を講じることで、誤情報を広めた投稿者に対して損害賠償を請求することができます。ここでは、風評被害で企業が損害賠償請求を行った事例を見ていきましょう。

  • 運送会社が掲示板で誹謗中傷を受けた事例
  • 飲食店がインターネットに誤情報を書き込まれた事例
  • 某企業がインターネットにデマを書き込まれた事例

企業の風評被害で最も多いのが、名誉毀損罪です。他社の事例を把握しておくと、スムーズに損害賠償請求を行いやすくなります。

運送会社が掲示板で誹謗中傷を受けた事例

某運送会社の従業員が、インターネットの掲示板に会社や社長・専務に関する誹謗中傷を書き込みました。「いきなり解雇通知された」「社長に懲戒解雇すると言われた」など社会的信用を失うような内容を投稿したため、会社側は従業員に対して名誉毀損に基づく損害賠償請求を行った事例です。

東京地裁は誹謗中傷により会社の信用や社長・専務の名誉が毀損されたと判断しました。そのため掲示板に書き込んだ従業員に対して、会社に100万円、社長と専務へ30万円ずつの支払いを行うよう命じています。

飲食店がインターネットに誤情報を書き込まれた事例

ある男性が、複数店舗展開する某ラーメン店について嘘の情報をインターネットに書き込みました。「飲食代の4〜5%相当がカルト集団の収入になる」「求人広告が実態とは大きく異なる」などと投稿したため、飲食店側が男性に対して名誉毀損で刑事告訴した事例です。

第一審の東京地裁では、インターネット上の情報は一般的に信頼性が低いとして無罪判決を下しました。しかし、第二審の東京高裁では名誉毀損罪が認められ、投稿した男性に30万円を支払うよう命じています。

某企業がインターネットにデマを書き込まれた事例

高速で煽り運転を受けた夫婦が死亡した事故に関して、複数の人物が無関係の会社の従業員が容疑者であるとデマの情報を書き込みました。デマが事実のように拡散され、毎日嫌がらせの電話が続いたため、会社側が投稿者に対して名誉毀損で刑事告訴した事例です。

デマ情報の投稿を巡っては、賠償命令を受けた5人のうち4人が名誉毀損罪で罰金30万円の略式命令を受けました。残る1人も、正式裁判で30万円の支払いが命じられています。

企業が風評被害に対して損害賠償請求を行う際の相談先

企業が風評被害に対して賠償請求を行うときは、自社だけで対応せず外部の力を借りることが大切です。ここでは、企業が風評被害に対して損害賠償請求を行う際の以下2つの相談先について詳しく見ていきましょう。

  • 弁護士
  • 警察署

風評被害の損害賠償請求は、法的手続きが発生するため弁護士の相談が不可欠です。一方で犯罪性が高い場合は、警察署への相談も検討しましょう。

弁護士

弁護士に相談することで、風評被害に対して損害賠償請求を行えるようになります。SNS・掲示板の運営会社に対して、削除請求・発信者情報開示請求をすることも可能です。ただし、弁護士に依頼すれば、必ずしも削除や情報開示に対応してもらえるわけではありません。

また風評被害を未然に防いだり、再発防止に努めたりするのは専門外である点に注意が必要です。風評被害の根本的な原因を解決したい場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。

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警察署

風評被害を警察に相談する場合、名誉毀損や業務妨害などの犯罪に該当するか判断したうえで捜査を行ってくれます。また、証拠保全や差止命令など、法的措置を取ることも可能です。

脅迫によって身体の危険が懸念されるときや刑事告訴を検討しているときは、弁護士と同時並行で警察に相談しましょう。ただし、風評被害が犯罪として成立しない場合や加害者の特定が困難な場合は、対応してもらえない可能性があります。

風評被害の根本的な原因を解決するなら専門業者への依頼がおすすめ

企業が風評被害を受けた場合、条件を満たせば損害賠償請求を行うことができます。これまで風評被害に対して損害賠償請求を行った事例は数多く存在するため、自社で手続きを行う際の参考にしましょう。

損害賠償請求を行うときは弁護士への依頼が必要になりますが、風評被害の根本的な原因を解決したい場合は、風評被害対策業者への依頼がおすすめです。逆SEO対策やモニタリングなどを通じて、風評被害の発生リスクを最小限に抑えます。

株式会社ソルナのカイシャの病院では、風評被害に特化したプロがお客様の状況に応じて最適な対策を実施し、問題解決までをサポートいたします。在籍する社員全員が有資格者であり、これまでの経験や実績も豊富です。企業の風評被害でお悩みの方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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