企業向けsns炎上対策マニュアル
- 対策方法
- 風評被害
企業にとっても個人にとっても、非常に身近な存在になっているSNS。
上手に使ってマーケティングを成功させる企業があれば、使い方を誤り、炎上トラブルに巻き込まれてしまう企業も少なくありません。
とはいえ、炎上を恐れ一切のSNSを切り離すのも賢い戦法とは言えないでしょう。
企業として知っておきたい炎上対策や、いざというときのためのマニュアルを知っておくことが大切です。
炎上が発生するメカニズムから炎上しやすいSNS、具体的な事例からおすすめ対処法まで、詳しく解説していきます。
sns炎上に企業は目を背けられない時代
企業にとって、SNSは非常に魅力的なマーケティングツールです。
上手に使いこなせば、顧客との間で直接関係が生まれ、より強い結びつきを得られるでしょう。
企業そのものや商品を知り、親しみを抱いてもらう効果も抜群。
SNSでのやりとりを通じて、顧客側の隠れたニーズを探ることもできるはずです。
SNSのほとんどは、誰でも手軽に、無料でスタートできるもの。
実際に多くの企業がSNS上に企業アカウントを開設し、日夜さまざまなマーケティング活動を仕掛けています。
企業としてのさらなる成長を目指すため、もはやSNSは、欠かせないツールの一つと言えるでしょう。
こうした状況だからこそ、どうしても切り離せないのが炎上リスクです。
良い情報も悪い情報も、あっという間に拡散されていくのがSNSの特徴ですから、事前に知識を身につけておきましょう。
「うちはまだ企業アカウントを運営していないから大丈夫」と思っている方もいるかもしれませんが、「すべての従業員がSNSを利用していない」と考えるのは無理があります。
従業員の投稿内容から、企業が炎上する事例も決して少なくありません。
だからこそ企業は、SNS炎上トラブルを他人事と思うのではなく、適切な対策や万が一の際の対処法を学んでおく必要があるでしょう。
炎上しやすいSNSを知っておこう
ひと言でSNSと言っても、その内容はさまざまです。
炎上のきっかけになりやすいSNSもあれば、そうではないSNSも。
企業としてネット炎上対策を行うなら、炎上しやすいSNSを知った上で、重点的にチェックするのがおすすめです。
SNSの中でも、特に炎上しやすいのがtwitterです。
twitterには、炎上を招きやすいさまざまな要因が重なっていると言えるでしょう。
たとえば、Facebookであれば登録には実名が必要。
身近な人々とつながっているため、「投稿内容が過激になりすぎないよう気をつけている」という方も多いはずです。
一方でtwitterの場合、プロフィールの公開範囲は非常に狭く、匿名性が高いSNSだと言えるでしょう。
つまり、「感情のまま過激な発言をした場合でも、個人が特定されにくいのでは」という安心感を抱きがちです。
またtwitterならではの拡散性の高さも、非常に大きなポイントに。
同じSNSでもInstagramにはシェア機能が備わっていませんし、Facebookなら投稿ごとに公開範囲の指定が可能です。
「全体公開」が基本のSNSで、さらに自己抑制が難しい環境が加わっているために、炎上トラブルに発展しやすいと考えられます。
もう一点忘れてはいけないのが、140文字という文字数制限です。
文字数制限がないブログでは丁寧に説明できる事柄も、投稿できる文字数に制限があるtwitterでは、詳細情報が省かれがちです。
インパクトのある部分のみが伝わりがちな点も、炎上を招く要因の一つと言えるでしょう。
SNS炎上のリスクを減らす対策マニュアル
ひとたびSNS上で炎上騒動が発生すれば、企業に多大なる損失を与えてしまうでしょう。
炎上が話題になれば、ネット上に一連の出来事をまとめたネガティブサイトが多数出現します。
すると、googleやyahooで企業名を検索する際にネガティブキーワードが多く並ぶ、サジェスト汚染・関連キーワード汚染といったトラブルにつながってしまうでしょう。
ひどいときには、Googleマップの口コミ機能を使い、企業に対して直接攻撃を仕掛けてくるようなケースもあります。
いったん炎上してしまえば、被害はどこまで続くのか、正確に見極めるのは難しいでしょう。
だからこそ、SNSでの炎上トラブルを防ぐための対策マニュアルを徹底させることが重要です。
特に注意したいポイントをまとめるので、ぜひ参考にしてみてください。
1.炎上につながりやすい状況を共有し理解させる
SNS上には、日々さまざまな内容が投稿されています。
何でも好きに投稿するのではなく、炎上につながりやすい内容を理解し、避けるだけで炎上リスクは低減できるでしょう。
では炎上につながりやすい内容とは、具体的にどういったものが挙げられるのでしょうか。
- ジェンダー
- 政治
- 宗教
- 性的指向
- 差別意識(外国人、障がい者など)
- 地域格差
これらの内容は、非常にセンシティブです。
充分な配慮を心掛けたつもりでも、言葉のチョイスや表現方法によって、読んだ人に不快な思いをさせてしまう可能性があります。
また内容と共に意識したいのが、投稿するタイミングについてでしょう。
投稿内容に問題がなくても、大きな事件や事故と重なると、「不謹慎だ」と炎上する可能性も。
「炎上リスクがある」と周知徹底するだけでも、予防効果が期待できるでしょう。
2.各種ルールを徹底する
個人としても企業としても、インターネットやSNSを活用する際には、一定のルールを理解し守る必要があります。
企業としてのガイドラインを策定し、従業員教育で徹底しましょう。
SNSでアカウント運用する上で、個人情報や機密情報の取り扱いについては十分に注意しなければいけません。
また著作権法や薬事法、景品表示法といった、法律面での基本的知識も欠かせないでしょう。
それぞれのSNSが設定するガイドラインについても、社内で徹底できるよう準備してください。
3.トラブルを防ぐための仕組みを作る
どれだけしっかりと対策をしていても、ミスが発生する可能性はあります。
だからこそ重要なのは、単純なミスを炎上というトラブルにつなげないための仕組み作りです。
たとえば、
- 投稿内容は複数人でチェックする
- 炎上リスクが高いと思われるNGキーワードを一覧表にして共有する
- 投稿用のテンプレートを用意する
といった方法が挙げられるでしょう。
アカウント運用体制までをしっかりと整えることで、トラブル予防につなげていけます。
4.ネガティブな意見を定期的にチェックする
企業が炎上に巻き込まれる要因が、常に社内にあるとは限りません。
ユーザーや顧客のネガティブな口コミがきっかけになるケースも多く見られます。
こうしたネガティブな意見を、完全にコントロールするのは難しいでしょう。
しかし情報が拡散され、より大規模なトラブルに発展する前に、事態を収束できる可能性はあります。
ネット上にネガティブな意見が書き込まれていないか、定期的に監視することも、予防対策として有効です。
5.社内環境の風通しを良くする
従業員が会社の対応や待遇に不満を抱いている場合、個人アカウント上の暴露によって、企業が炎上する可能性も。
ネガティブな意見の発信元が社内の場合、より情報はリアルに、そして企業が受ける傷は大きくなってしまうでしょう。
だからこそ重要なのは、社内の風通しを良くすることです。
社内の体制や待遇などに関する不満を抱えていても、相談窓口がしっかりと機能し、納得できる対応を受けられれば炎上につながるリスクは低くなります。
SNS炎上発生時の対処マニュアル
どれだけ気をつけていたとしても、残念ながらSNS炎上トラブルに巻き込まれてしまう可能性はあります。
炎上による被害を最小限に食い止めるためには、対処方法を間違えないことが重要です。
炎上対策の基本ではありますが、実際には「炎上後の対処方法を誤り、さらに炎上被害を広げてしまった…」という事例も珍しくありません。
では、炎上被害を広げないためには、いったいどう対処するのが正解なのでしょうか。
3つのポイントを紹介します。
1.まずは冷静になり状況を把握する
SNS上で炎上トラブルが発生したら、まずは冷静になりましょう。
「炎上した!まずい!」という思いから、焦って投稿内容を消してしまう方もいますが、これはおすすめできません。
「都合の悪い投稿を削除→企業として誠実に対応するつもりがない」と判断され、さらなる炎上を招く恐れがあります。
まずは冷静に、以下の内容をチェックしてみてください。
- 炎上の原因は何か?
- 具体的な「被害者」が存在するか?
- ユーザーが批判しているポイントはどこか?
- 炎上はどの程度広がっているのか?
これらの情報は、炎上トラブルに対して適切に対処するために重要なもの。
できるだけ早く、トラブルの全容把握に努めてください。
もっとも素早く把握しておきたいのは、「炎上の原因となった出来事に被害者は存在しているのか?」という点です。
たとえば、ユーザーからのクレームが炎上のもとになっている場合、クレーム元のユーザーが被害者と言えます。
周囲の意見に惑わされず、被害者との間のトラブルを真摯に解決することが、火消しのための最短ルートになるでしょう。
謝罪するべき相手は被害者ですし、そこさえしっかりと行っていれば、企業としての傷は最小限に抑えられます。
対応の流れを、問題のない範囲で公開していくのもおすすめの対処法です。
一方で、炎上トラブルの中には、明確な被害者が存在していないケースもあります。
「企業アカウントで不適切発言をし、批判を浴びた」「従業員の不適切投稿で問題になった」といった事例が挙げられますが、この場合は該当の投稿内容を取り下げて、不快な思いをさせたことに対して、丁寧に謝罪するスタイルが一般的です。
2.企業としての方針を明確にし、必要があれば謝罪する
SNSで炎上すれば、企業として謝罪に追い込まれる場面も少なくありません。
「できるだけ素早く謝罪し、火消しを」と思う気持ちもわかりますが、「とりあえず謝罪を」という雰囲気に世間は敏感です。
謝罪文を出す前に、企業としての方針を明確にしましょう。
何について謝るのか、今後どういった方針で対処するのかを明らかにすることで、炎上後の対応にブレが生じにくくなります。
近年では、「問題を大きくしたくない」という思いから、炎上後すぐに謝罪する企業も少なくありません。
とはいえ、そうして公開された謝罪文がきっかけで、炎上被害がさらに広がってしまう事例も多く報告されています。
企業としての対応に少しでも不備があれば、謝罪するのが賢明ですが、誰に対してなぜ謝罪するのか、ターゲットと理由を明確にしましょう。
3.ときにはあえて放置する
SNSで炎上トラブルが発生した際には、その対策に頭を悩ませがちです。
しかし実際には、「何も対策をとらずにただ放置する」のがベストというケースも多くあります。
SNS上の話題は、良くも悪くも非常に素早く移り変わっていきます。
炎上トラブルの多くは、たとえ放っておいても、数日以内に終息に向かっていくでしょう。
- 企業に非がない場合
- ユーザーの間で判断がわかれている場合
こうした状況では、あえて静観するのもおすすめです。
公式の立場で不用意な発言をすれば、燃料を投下してしまう可能性も。
事態の推移を見守りながら、その都度適切な対応を意識してみてください。
炎上が起こるまでの流れ
より効果的な炎上対策を行うためには、炎上が起こるまでのメカニズムについて、知っておくのがおすすめです。
1.問題のある投稿 → 火種の投下 2.投稿を見た人が、話題にする 3.企業が火消しのために対応するも、失敗する → 最初の炎上 4.インフルエンサーが話題にしたり、まとめサイトが作られたりする → 爆発的な拡散 5.最初の投稿を見ていない人からも、否定的な意見が寄せられる → さらなる炎上 6.企業による謝罪や担当者の辞任といった対応がとられる
どんなに大きな炎上トラブルも、最初は小さな投稿からスタートします。
投稿内容に何らかの問題があった場合、ごく小規模な「火災」が発生。
投稿内容の問題点を指摘する声が、ネット上にちらほらと見られる状況を指します。
この段階で火消しできれば良いのですが、企業としての対応を誤ると、自身がさらに燃料投下してしまうことに。
ここまでくると、火消しをするのは決して簡単ではありません。
騒動が大きくなれば、より影響力の強い人が情報を拡散させ始めます。
事態を収束するために、企業側は謝罪に追い込まれたり、担当者の辞任に追い込まれたりするケースも少なくないでしょう。
そもそも火種を投下しないのがベストですが、投下されてしまった場合でも、3~4の段階までにきちんと対処できれば、企業が受ける傷は最小限に留められるでしょう。
起業が炎上した事例
炎上トラブルを防ぐためには、過去の事例から学ぶのもおすすめです。
SNSとブログ、それぞれが発端となった事例を2つ紹介します。
SNS(twitter) 編
2015年8月9日、有名テーマパークの公式twitterアカウントが「なんでもない日おめでとう」という内容を投稿しました。
もともとは「A VERYMERRY UNBIRTHDAY TO YOU!(お誕生日ではない日おめでとう)」を意訳したものでしたが、その日は長崎に原爆投下された日からちょうど70年という節目の日。
「なんでもない日と表現するのはちょっと…」と炎上トラブルに発展しました。
公式アカウントは該当の投稿を削除すると共に、謝罪しています。
自社情報発信(ブログ)編
2014年、当時エンジニア支援を行っていた企業の代表取締役の個人ブログが炎上しました。
内容は、「エンジニア支援を行う企業であるにもかかわらず、エンジニアが大量にやめてしまった」など、実際の状況を皮肉ったもの。
キュレーションアプリやインフルエンサーブログで取り上げられるなど、あっという間に拡散され、炎上状態に陥りました。
協賛企業も撤退するなど、事業活動全体にも非常に大きなダメージを与えてしまいました。
SNS・Web上を常に監視すると迅速な対応ができる
過去の炎上事例や炎上が起こる仕組みからもわかるとおり、投下された火種を大規模炎上につなげないためには、「できるだけ早い段階で適切に対処し、さらなる拡散を防ぐ」という行動が重要なポイントになります。
自社に関連したネガティブ情報がネット上に投稿されていないか、SNSを含めたWeb上を常時監視していれば、最初のプチ炎上が発生する前の段階で状況を把握し、対策できる可能性も高まるでしょう。
SNSモニタリングとも言われるSNS監視には、具体的に以下のような方法があります。
- SNSの検索ボックスに社名や商品名を入力して検索する
- Yahoo!リアルタイム検索を使う
- Googleアラートで、あらかじめ注意が必要なキーワードを設定しておく(※投稿されたらアラート)
- SNS監視ツールを利用する
自社に合った方法を検討してみてください。
監視サービスを検討する
社内でSNS監視を行う場合、最小限のコストで炎上対策ができるでしょう。
とはいえ、SNSやネット上に投稿される情報は膨大で、そのすべて追いかけるのは簡単ではありません。
更新され続ける情報に追いつけなければ、火種に気付くタイミングが遅れ、早期対処が不可能になってしまう可能性も。
SNS監視をする意味がなくなってしまうでしょう。
このような場合におすすめなのが、SNSの常時監視サービスを利用する方法です。
専門業者にモニタリング業務を外注すれば、社内の負担は最小限にできます。
確かな実績を持つ業者に依頼すれば、その他の炎上対策も含めて、包括的にサポートしてもらえるでしょう。
まとめ
SNSやブログから始まる炎上トラブルは、いつ発生してもおかしくはありません。
だからこそ、なぜ炎上が起きるのか、どうすれば早期に収められるのか、正しい知識を身につけておきましょう。
炎上対策には早期対処が鍵になりますが、そのためにはネット上の常時監視が有効です。
目視で監視してくれるサービスであれば、かなりの精度で炎上リスクの高い投稿を拾い上げてくれます。
SNS監視サービスの利用も検討し、炎上リスクを低減させましょう。