食べログ「まずい」クチコミに店激怒 「客減った!弁償しろ」裁判はどうなる
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食べログで「まずい」と書かれた店が訴訟を起こした事例です。
判決はまだ出ていませんが、そもそも食べログのような、購入者かどうかが分からないサイトが、ステマ(ステルスマーケティング)の温床になりがちなのは、業界では周知の事実。
当然、ライバル企業の悪評を書き込むことで優位に立とうという会社やお店があってもおかしくありません。
利用者の利便性や公開性を考えれば、自由に書き込めることの利点は大きいものの、問題は、本当に購入したのか、本当に来店した人が書いたのかどうかも分からない、いわゆる”やらせ”が通用してしまうこと。
購入者や実際に足を運んだ人だけが投稿できるレビューサイトとはちょっと違いますよね。
以下の記事で弁護士が「難しい」と述べているように、削除は難しいというのが一般的な見方のようです。
それだけに、この裁判の結果如何では、誹謗中傷に関する対応が、劇的に変わってくる可能性もありそうです。判決がどうなるか、注目です。
「料理が出るのが遅い」「おいしくない」に憤慨
ウチのレストランが「まずい」と、レビューサイトに書き込まれてしまった! 悪評は客足にも響きかねないだけに、なんとかして削除できないか――そう考えるのはおかしくないと思えるが、実際には難しいというのが現状のようだ。
2013年5月8日、ユーザー投稿型の飲食店情報サイト「食べログ」に書き込まれたクチコミで「客が激減した」として、札幌市内の男性が運営会社を札幌地裁に提訴した。
「食べログ」はカカクコム(東京・渋谷区)が運営する、飲食店について住所やメニューなど情報、また実際に訪れた人の感想などを掲載するウェ
ブサイトだ。利用者数(ユニークユーザー数)は月間4000万人を越え、今や「お店に行く前に、食べログなどクチコミサイトを見るのは当たり前」というほ
どに普及している。
上記の男性は2012年2月、自ら食べログに経営する飲食店の情報を掲載した。ところがそこに「料理が出てくるのが遅い」「おいしくない」と
いった批判的なクチコミを書き込まれてしまった。直後に店を訪れる客は激減、男性は食べログが原因と考え、店情報そのものを含めて投稿を削除するようカカ
クコムに求めたが、同社が拒否したため、今回の訴訟に至った。男性は店舗情報の削除、および損害賠償220万円の支払いを求めている。
食べログの投稿をめぐる問題では、2010年に佐賀市の飲食店が、メニューや店の外装などを変えたのにもかかわらず食べログ上に以前の写真が
残っているとして、削除を求める訴訟を起こしたことがある。この件は翌年、情報の削除と訴訟の取り下げで決着した。このほか2012年には店側が「やらせ
書き込み」を行った疑いがあるとして、消費者庁が調査に乗り出した(処分自体は見送り)。
今回の訴訟はネット上でも議論になり、「本当においしかったら、そのレビューが目立たなくなるほど称賛のレビューが載るんじゃないの?」と
いった店側への揶揄や、「明らかに事実と異なること書かれたならともかく遅いとか美味しくないなんて主観だろ そんなものの真偽なんて確かめようがないし
それがダメならレビューサイト全滅じゃん」と疑問を呈する声が出ている。
「削除認められるのは相当困難」と専門家
実際、店側がこうしたケースで削除を認めさせることはできるのだろうか。ネットの誹謗中傷・名誉毀損問題に取り組む、弁護士法人港国際グループの最所義一弁護士は、あくまで一般論としつつも、削除などを求めることは「難しい」との見解を示した。
最所弁護士によれば、削除が認められるためには、利用者によるクチコミが「違法」であることが条件になる。それには投稿に公共性あるいは公益
目的がないこと、あるいは投稿自体が虚偽であることが認められる必要があるが、前者はレビューサイトという性格上まず難しく、後者も、
「『美味しくなかった』というような個々人の主観にかかわる意見の場合には、やはり相当困難だと言わざるを得ません。このような
意見の場合には、意見の根拠とされる事実そのものが虚偽であるか、表現方法が一般の人が見ても、酷いと思える程度のものでなければなりませんから、現実的
には、『美味しくなかった』というような表現があったとしても、その削除を求めることは難しいと思います」(最所弁護士)
「ライバル店による嫌がらせ」なら公益目的に反することを理由に、違法性を問える可能性は出てくるものの、その場合でも立証はかなり困難だという。
似たような相談も増えているが…
また損害賠償の請求については、仮に投稿の違法が認められたとしても「現実的には、売り上げの減少すべてが、その投稿によって生じたとまで
は、なかなか言えないのでないかと思います」。サイト管理の責任を問おうとしても、投稿の違法性を判断すること自体が難しいことを考えれば、
「店側から、虚偽である事が明らかなとなる客観的証拠が示されたにも拘わらず、削除する事なく放置したような場合でなければ、サイト運営者自身の責任を問う事は難しいでしょう」
とのことで、結局のところかなり「割に合わない」話のようだ。最所弁護士が所属する事務所にも、こうした相談は増えてきているというが、「表現の自由」が重んじられる日本の裁判では、勝つのは厳しいのが現状だという。
最所弁護士は一方で、「現在のネット社会で中傷された側が受ける不利益の重大性を、裁判所には、もっと真剣に考えて頂きたいという思いはあります」とも語る。
「自由な意見が言えるのがネットの良さでもありますが、発言には責任を伴います。無責任な投稿を行なえば、必ず、責任を問われる、そのことをしっかり理解して頂きたいと思います」
J-cast newsより 2013/5/ 9 19:52
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